93歳、ばあちゃんの驚愕の昔話(五右衛門風呂!)
皆さん、五右衛門(ごえもん)風呂って、
聞いたことありますか?
鉄でできたお風呂で、
下から蒔で火をくべて水をお湯に沸かす、お風呂なんです。
そのままだと底が熱いので、木の板を敷いて入ります。
大泥棒の石川五右衛門が釜茹での刑にされたことからそういう名前がついたらしいんですけど、それって歌舞伎のお話でしたっけ?俗説?
ネットなんかで調べると、底の方だけ鉄で周りは木できているのが五右衛門風呂で、全部鉄でできているのは長州風呂というそうです。
ここでは鉄製のものですが、五右衛門風呂ってばあちゃんが言っているのでそちらで呼びますけど。細かいことは気にしないようお願いします。
名前はともかく、ばあちゃんの田舎の家はその五右衛門風呂があったんです。
ばあちゃんの田舎の家と言っても、
正確にはばあちゃんがお嫁に来てから暮らした、じいちゃんの実家ですね。
ばあちゃんの実家はそこのご近所さんにあります。もう更地になってしまいましたが。
五右衛門風呂、
大昔の話じゃなくて、私も子どもの頃、一回だけ入ったことあるんです。
(30年以上前ですけど。。 )
確か、幼稚園くらいの時、家族みんなで田舎の家に泊まろうってことになったんです。
その家は普段は空き家になっていて、
田舎にある茶畑をやりに来る時にだけ、休憩場所として使っている家でした。
古いながらもガス水道電気も通っていて掃除もされている家でした。
30年前は。
本当に古い家で、子どもだった私と兄は土間を走り回ったり、かくれんぼしたり、二階の古い道具を眺めては宝探しをするように楽しんでいました。
二階の古い道具はまた別の時にでもお話します。
田舎の家の夜は独特の雰囲気がありました。
蚊帳も初体験でした。
でっかいネットの中で寝るのは楽しかったです。
ぼっとん便所は昼間でも十分怖かったですけど!夜は1人では行けなかったです。
五右衛門風呂も、とにかく怖かったのを覚えてます。
浮かんでいる木の板の上にそうっと乗って、
ズズズーって沈めていくんです。
でも子どもの体重だと軽くて板が浮かんできちゃう( ´Д`)ムリ!
お父さんかじいちゃんか、大人が一緒に入ってくれて、
ようやくちゃんと板が沈んで湯船に浸かることができました。
下は熱いから危ないぞって言われてたから、板が斜めになってひっくり返りそうになった時、すごく焦りました。
大人達は笑ってましたが。
その時は子どもだったので気にしてませんでしたが、
五右衛門風呂は薪で水を沸かしていたそうです。
薪!
「薪でお風呂を沸かすなんてすごいねえ」とばあちゃんに改めて言うと、
ばあちゃんは「昔はなあ、、、」と話し始めました。
風呂の湯沸しは子どもの仕事やった。
薪を拾ってきて、水を汲んできてなあ、
お風呂はそれはそれは重労働やったわ。
昔は皆、毎日風呂を沸かすわけじゃないから、
近所でもらい湯させてもらうんや。
自分とこでは1週間に1回沸かせば上等で、
あそこんちは、おつもご風呂やなあって言われたりもしたが、
どこの家でも皆そんなもんやて。
おつもごとは、大晦日のことです。
年に1回沸かすと言う訳ではなく、あんまり沸かさないなーっていうのを大げさに揶揄してるわけです。
ばあちゃんがお嫁に行った頃からは家の中に水の管が引かれたそうですが、
それまでは山からの湧き水が出ている場所に汲みに行って、水を使っていたそうです。
もちろんお風呂だけでなく、台所で使う水なども。
わお!
想像以上の重労働ですね!
家の外から水を運ぶ!
ツラい!!!
それで、お風呂をいっぱいにするとか、とんでもなく大変な作業ではないでしょうか。
だから肩まで浸かるほどの水の量なんてとても汲めなくて、
風呂釜に4分の1くらいで沸かすことも多かったそうです。
(ケツ風呂と呼ばれていたそう(>。<))
風呂釜にやっとこさお水を運んで、
薪を拾って、そこからさらに火をつけてお風呂を沸かすわけですから、
お風呂に入るまでの道のりの険しいこと!!!
お風呂に入るのって、本当大変なことだったんですね。
今はボタン1つで
「風呂自動運転を開始します。」ですもんね。
「お風呂の栓はしましたか?」とか聞いてくれちゃう親切機能付き。
本当すばらしいです。
そしてばあちゃんは、
「一番風呂は男衆が入るもの」という、
昔からの教えが体に染み付いているらしく、
一番最初にお風呂に入ることに抵抗を示します。
「ばあちゃん、お風呂どうぞー。」
「ん?なんや?誰か先入ったか?わしが一番なんか?いいんか?ほれ、誰か先入らんか?」
「子どもたち勉強してるし、私たちリングフィット(軽い運動)してから入るから、先入って欲しいんやけど。」
「なんや、そうなんか。男衆より先に入るなんてなあ。一番風呂をなあ。ええんか。わし、待っとるで、後でもええんやぞ。」
「いいから。空いてるんだから、先に入ってくれたほうがいいな。」
「なんや、ええんか。入るぞ。」
「うん。入りな、ばーちゃん。」
「そうかー。ほんとにええんか?」
というやりとりを毎回繰り返します。
コントじゃないですよ。
ばあちゃんはあくまでも真剣です。
本気で男たちより先に入るのは罪悪なことであると思っているようです。
てか、ばあちゃんと暮らすようになってからもう15年以上経つっていうのに、いまだにこうなのは逆にすごいですよね。
毎回最後、私はこうなります。
「いいから、はよ、入ってきて!
(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾」って。笑